超伝導の基礎(BCS理論)
電気抵抗ゼロ・完全反磁性——超伝導の謎をクーパー対と自発的対称性の破れで説明したBCS理論。現代凝縮系物理の金字塔。
「電気抵抗ゼロ」の謎が解けた
1911年、カメルリング・オネスが水銀を液体ヘリウムで冷やすと電気抵抗が突然ゼロになる現象を発見。
46年後の1957年、バーディーン・クーパー・シュリーファーがついて理論的に説明した。
ジョン・バーディーン(トランジスタでも受賞)・レオン・クーパー・ジョン・シュリーファーが超伝導のBCS理論を発表。自発的対称性の破れという概念が物理学全体に革命を起こした。
クーパー対:電子が引き合う
通常、電子同士はクーロン斥力で反発する。なぜ超伝導体で引力が働くのか?
電子Aが格子を通ると正電荷の分極(フォノン)が生じる。
少し遅れて電子Bがその分極に引き寄せられる。
電子A → フォノン(格子振動の量子)→ 電子B の間接引力でクーパー対が形成。
対の構造:(運動量・スピンが逆)
BCS基底状態
全てのクーパー対が同じ位相でコヒーレントに凝縮したマクロな量子状態。
エネルギーギャップとTc
クーパー対を壊すには のエネルギーが必要。
(低温超伝導体でよく成立する普遍的な関係)
ギャップがある→電子がフォノン散乱を受けられない→電気抵抗 = 0
マイスナー効果とロンドン方程式
超伝導状態では磁場が内部から追い出される()。
ロンドン方程式:
→ 磁場はロンドン侵入長 の範囲でのみ浸透。
磁石が超伝導体上に浮く(磁気浮上)の原理。
ジョセフソン効果と応用
2つの超伝導体を薄い絶縁層で挟むとクーパー対がトンネルして電流が流れる(ジョセフソン効果)。
2つのジョセフソン接合でリングを作ると、微小な磁場変化(10⁻¹⁵ T 以下)を検出できる。MRI・脳磁図・重力波検出器に使われる最高感度の磁気センサー。
1986年にBednorzとMüllerが銅酸化物系高温超伝導体(Tc〜130K)を発見(BCS理論では説明困難)。現在もTc=室温の超伝導体探索が続く。Josephson接合は超伝導量子コンピュータの量子ビットの基本素子。
// quiz
確認問題
Q1.BCS理論でクーパー対とは何か?
Q2.マイスナー効果とは何か?