オームの法則と電気回路
V=IRは「電圧が高いほど電流が流れやすい」というだけ。直列・並列の計算まで水の例えで体感する。
電気を水で理解する
電気回路は目に見えないので難しく感じる。でも水の流れで考えると直感的にわかる。
| 電気 | 水の例え | 単位 |
|---|---|---|
| 電圧 V | 水の落差(高さの差) | ボルト(V) |
| 電流 I | 流れる水の量(流量) | アンペア(A) |
| 抵抗 R | パイプの細さ | オーム(Ω) |
「高い位置の水は低い位置に流れようとする。パイプが細ければ流れにくい。」
これがオームの法則の直感だ。
1827年、ドイツの物理学者ゲオルク・オームは V = IR の関係を発表した。しかし、当時のドイツ科学界は「実験から法則を導く」という手法を軽視しており、オームの論文は酷評された。
彼は大学のポジションを失い、十数年間、一地方の教師として過ごした。
しかし徐々に評価が変わり、1841年にはイギリス王立協会からコプリメダルを授与。1881年、彼の死後30年以上経ってから、電気抵抗の単位に彼の名前「オーム(Ω)」が採用された。
オームの法則
3通りに変形して全部使いこなす:
人体の電気抵抗は状態によって大きく変わる。乾いた皮膚では数kΩ〜数十kΩ、濡れた皮膚では数百Ω程度にまで下がる。
家庭用コンセントは 100 V。オームの法則で計算すると、濡れた手で触れた場合(仮に R = 500 Ω)では I = 100/500 = 0.2 A = 200 mA が流れる。人体に致死的な電流は 30〜50 mA と言われているので、非常に危険だ。
「濡れた手で電気器具を触ってはいけない」という理由が、オームの法則で説明できる。
直列接続と並列接続
直列接続(1本道)
電流が通る道が1本だけ。
- 電流は全部同じ(どこで測っても同じ A)
- 電圧は分かれる(各抵抗で一部消費)
- 合成抵抗:(足し算)
並列接続(途中で分岐)
電流が枝分かれする。
- 電圧は全部同じ(どの枝も同じ V)
- 電流は分かれる(細い方に流れにくい)
- 合成抵抗:
並列にすると合成抵抗は必ず各抵抗より小さくなる。
3Ω と 6Ω の並列接続。合成抵抗は?
2Ω は元の抵抗値(3Ωや6Ω)より小さい。これは「道が増えれば流れやすくなる」という直感と一致する。
| 比較 | 直列 | 並列 |
|---|---|---|
| 電流 | 全部同じ | 分かれる |
| 電圧 | 分かれる | 全部同じ |
| 合成抵抗 | R = R₁+R₂(大きくなる) | 1/R = 1/R₁+1/R₂(小さくなる) |
「直列は電流が同じ、並列は電圧が同じ」と覚える。逆にすると全問間違う。
電力・電力量
電力量(実際に使ったエネルギー):
家庭の電気代は「1 kWh(キロワット時)」という単位で請求される。
100 V・60 W の電球を5時間使った。電気エネルギーは何Jか?また電流は何Aか?
電気エネルギー:W = 60 × (5 × 3600) = 60 × 18000 = 1.08 × 10⁶ J
電流:I = P/V = 60/100 = 0.6 A
抵抗:R = V/I = 100/0.6 ≈ 167 Ω
家庭のコンセントは全て並列接続になっている。理由は明確だ。
もし直列接続なら、1つの電気器具をオンにするたびに全体の抵抗が変わり、他の器具に流れる電流も電圧も変化してしまう。洗濯機をオンにしたら照明が暗くなる、という事態が起きる。
並列接続なら、各器具にかかる電圧は常に100 Vで一定。1つのコンセントに器具をつないでも他に影響しない。
「並列接続 = 電圧が全部同じ」という性質が、安定した電力供給を可能にしている。
オームの法則まとめ
- V = IR(電圧 = 電流 × 抵抗)
- 直列:R合 = R₁+R₂、電流が同じ
- 並列:1/R合 = 1/R₁+1/R₂、電圧が同じ
- 電力:P = VI = I²R = V²/R
- 並列の合成抵抗は必ず各抵抗より小さくなる
// quiz
確認問題
Q1.10Ωの抵抗に5Vをかけると電流は何Aか?
Q2.直列接続の合成抵抗は?