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高校基礎Chapter 1517

酸・塩基とpH

H⁺のやりとりで理解すれば、pH計算から中和まで迷わなくなる。胃液もレモンも「酸」の話。

##塩基#pH#電離#中和

なぜレモンは「すっぱい」のか

レモン果汁・食酢・胃液・コーヒー。これらに共通するのは「酸性」という性質だ。

舌が「すっぱい」と感じるのは、水素イオン(H⁺)が味覚受容体を刺激するからだ。つまり「すっぱさ」とはH⁺の存在そのものを味覚で感じていることになる。

酸・塩基の化学は、この H⁺ をどう扱うかの話に尽きる。

📜酸塩基の定義の変遷

アレニウス(1884年):「水に溶けて H⁺ を出す物質が酸、OH⁻ を出す物質が塩基」。シンプルだが、水溶液限定。

ブレンステッド・ローリー(1923年):「H⁺ を渡す物質が酸、受け取る物質が塩基」。水溶液以外にも適用可能。

ルイス(1923年):「電子対を受け取る物質が酸(ルイス酸)、与える物質が塩基」。さらに広い定義。

高校化学では主にブレンステッドの定義を使う。


強酸・弱酸の本質的な違い

酸の「強さ」とは「どのくらい電離するか(H⁺ を放出するか)」で決まる。

種類電離度
強酸ほぼ 100% 電離HCl・H₂SO₄・HNO₃(この3種は暗記)
弱酸わずかしか電離しないCH₃COOH(酢酸)・H₂CO₃(炭酸)
強塩基ほぼ 100% 電離NaOH・KOH・Ca(OH)₂
弱塩基わずかしか電離しないNH₃(アンモニア)
💡強酸でも水で薄めると弱い?

「強酸・弱酸」は「電離度が大きい・小さい」の話であり、「濃い・薄い」とは別の概念だ。

0.001 mol/L の塩酸(強酸・希薄)と、1 mol/L の酢酸(弱酸・濃い)を比べると、後者の方が H⁺ 濃度が高いこともある。「強酸 = 常に H⁺ が多い」ではない点に注意。


pH の定義と計算

pH=log10[H+]\text{pH} = -\log_{10}[\text{H}^+]

直感的な理解:

pH が 1 小さくなる = H⁺ 濃度が 10 倍になる

pH[H⁺]
01 mol/L濃塩酸
10.1 mol/L胃液
310⁻³ mol/Lレモン果汁
710⁻⁷ mol/L純水(中性)
1110⁻¹¹ mol/L家庭用アンモニア水
1410⁻¹⁴ mol/L濃水酸化ナトリウム水溶液

水のイオン積:

Kw=[H+][OH]=1.0×1014(25C)K_w = [\text{H}^+][\text{OH}^-] = 1.0 \times 10^{-14} \, (25\,{^\circ}\text{C})

塩基のpHを求めるときは、まず [OH⁻] を求め、Kw から [H⁺] を逆算する:

[H+]=Kw[OH]=1014[OH][\text{H}^+] = \frac{K_w}{[\text{OH}^-]} = \frac{10^{-14}}{[\text{OH}^-]}

📝pH計算の基本パターン

パターン1:強酸のpH

0.010 mol/L の HCl のpH は?(完全電離)

[H+]=0.010=102mol/L[\text{H}^+] = 0.010 = 10^{-2} \, \text{mol/L} pH=2\text{pH} = 2

パターン2:強塩基のpH

0.010 mol/L の NaOH のpH は?

[OH]=0.010=102[\text{OH}^-] = 0.010 = 10^{-2} [H+]=1014102=1012[\text{H}^+] = \frac{10^{-14}}{10^{-2}} = 10^{-12} pH=12\text{pH} = 12

パターン3:希釈したときのpH

pH = 1の塩酸を水で100倍に希釈した。pHは?

[H+]=0.1100=103pH=3[\text{H}^+] = \frac{0.1}{100} = 10^{-3} \Rightarrow \text{pH} = 3

注意:強塩基を極端に希釈しても pH は 7 以下にならない(純水が pH = 7 だから)。


中和反応

酸のH⁺と塩基のOH⁻が反応して水になる:

H++OHH2O\text{H}^+ + \text{OH}^- \rightarrow \text{H}_2\text{O}

完全に中和するとき:

(naVa)×(a)=(nbVb)×(a)(n_a V_a) \times (a) = (n_b V_b) \times (a)

na×a=nb×bn_a \times a = n_b \times b

「中和 = pH7」は間違い

強酸 × 強塩基の中和点 → pH = 7(水の中性と一致する)

弱酸 × 強塩基の中和点 → pH > 7(生成した塩が加水分解して塩基性になる)

強酸 × 弱塩基の中和点 → pH < 7(生成した塩が加水分解して酸性になる)

「中和したから pH = 7」という思い込みは捨てること。どの酸・塩基の組み合わせかで中和点のpHが変わる。


🌍血液のpHと緩衝液

人間の血液のpHは 7.35〜7.45 という狭い範囲に保たれている。これが 0.1 でも外れると体調不良が起き、0.5 外れると生命の危機になる。

この精密なpH管理を担うのが緩衝液の仕組みだ。血液中の炭酸(H₂CO₃)と炭酸水素イオン(HCO₃⁻)が、酸が入ってきても塩基が入ってきても吸収してpHの変化を最小限に抑えている。

スポーツで乳酸が大量に発生しても血液のpHが劇的に変わらないのは、この緩衝システムのおかげだ。


重要ポイント

酸塩基のまとめ

  • = H⁺ を渡す、塩基 = H⁺ を受け取る
  • 強酸3種:HCl・H₂SO₄・HNO₃(丸暗記)
  • pH = -log[H⁺](pH1下がる = H⁺が10倍)
  • Kw = [H⁺][OH⁻] = 10⁻¹⁴(25°C)
  • 中和:naVa × a = nbVb × b
  • 中和点のpH:強×強=7、弱酸×強塩基>7、強酸×弱塩基<7

// quiz

確認問題

Q1.ブレンステッドの定義で「酸」はどれか?

Q2.pH = 3 のHClのH⁺濃度は?

Q3.強酸と強塩基の中和点pHは?

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化学反応式の書き方

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