物質の状態変化
固体・液体・気体は粒子の「自由度」が違うだけ。加熱曲線の平らな部分が純物質の証明になる理由を理解する。
「物質の顔」が変わる、でも正体は同じ
水(H₂O)は 0°C 以下で氷、0〜100°C で水、100°C 以上で水蒸気になる。でも化学的には全て H₂O だ。
状態変化は化学反応ではない。原子や分子の組み合わせは変わらず、粒子の「動き方・並び方」だけが変わる。
ダイヤモンド(炭素の固体)は、非常に高温・高圧にすると液体炭素になり、さらに加熱すると気体炭素(炭素蒸気)になる。
ただし、常温常圧では実はダイヤモンドは不安定で、グラファイト(鉛筆の芯)の方が熱力学的に安定だ。ダイヤモンドが自然に鉛筆の芯に変わらないのは、変化に必要なエネルギーが巨大で、実質的に変化が起きないから。「永遠に輝くダイヤモンド」は、キネティクス(反応速度)に守られた幸運な結果だ。
粒子モデルで3状態を理解する
| 状態 | 粒子の様子 | 形・体積 |
|---|---|---|
| 固体 | 規則正しく並び、その場で振動 | 形も体積も一定 |
| 液体 | バラバラだが互いに引き合う | 体積は一定、形は容器に従う |
| 気体 | 自由に飛び回る(粒子間力ほぼゼロ) | 形も体積も容器に従う |
温度 = 粒子の平均的な運動エネルギー。温度を上げると粒子の動きが激しくなり、固体→液体→気体と変化する。
状態変化の名前と熱の出入り
固体 ──融解(吸熱)──→ 液体 ──蒸発(吸熱)──→ 気体
←──凝固(発熱)── ←──凝縮(発熱)──
固体 ──────昇華(吸熱)──────→ 気体
←──────凝華(発熱)──────
熱を吸う(吸熱): 固→液(融解)、液→気(蒸発)、固→気(昇華)
熱を出す(発熱): 液→固(凝固)、気→液(凝縮)、気→固(凝華)
昇華の身近な例:ドライアイス(固体 CO₂ → 気体 CO₂)、ナフタレン(防虫剤)、ヨウ素(紫黒色の固体 → 紫の蒸気)
暑いとき体は汗をかく。汗(液体)が蒸発(液体→気体)するとき、皮膚から大量の熱を奪う。これが「蒸発は吸熱」という状態変化の応用だ。
1 g の水が蒸発するときに奪う熱量は約 2400 J(25°C の場合)。これは同じ量の水を 0°C から 100°C まで温めるのに必要な熱の約6倍の量だ。
同様の原理で、エアコン・冷蔵庫・ヒートパイプ式冷却器が動いている。
加熱曲線の「平らな部分」
水を一定の熱量で加熱し続けると、温度変化はこうなる:
温度
100°C ─────────────────(沸騰中・一定)
/
0°C ──────(融解中・一定)
/
加熱時間 →
平らな部分 = 状態変化中
なぜ温度が上がらないのか?加えた熱が「粒子を引き離す(結合を切る)」のに全部使われるからだ。粒子の運動エネルギー(= 温度)は増えない。
純物質の判定に使える
純物質:融点・沸点が鋭く・一定(加熱曲線の平らな部分が平坦)
混合物:融点・沸点が幅を持つ(平らな部分がなく、だらだらと変化する)
海水は不純物(NaCl など)が溶けているため、純水より沸点が高く(沸点上昇)、凝固点が低い(凝固点降下)。
ある純物質を一定の熱量で加熱した。60°C で平らになり、120°C で再び平らになった。
- 60°C = 融点(固体→液体の状態変化が起きている)
- 120°C = 沸点(液体→気体の状態変化が起きている)
- 60°C 以下:固体を加熱中(温度上昇)
- 60〜120°C の間:液体を加熱中(温度上昇)
- 120°C 以上:気体を加熱中(温度上昇)
状態変化のまとめ
- 状態変化は化学反応ではない(分子の組成は変わらない)
- 固→液→気:吸熱(熱を吸う)
- 気→液→固:発熱(熱を出す)
- 状態変化中は温度一定(グラフの平らな部分)
- 純物質は融点・沸点が一定の値を持つ
// quiz
確認問題
Q1.液体が気体になる変化を何というか?
Q2.状態変化中、温度はどうなるか?