33/41群論と分子の対称性
HOME/化学/群論と分子の対称性
大学Chapter 3314

群論と分子の対称性

分子の形がわかれば振動数・軌道・光吸収が予測できる。群論は分子の対称性を数学的に扱う強力なツール。

#群論#対称性#既約表現#文字表#点群#選択則

分子の形を「数学」で扱う

「なぜ CO₂ は赤外線を吸収するのに N₂ は吸収しないのか?」

この問いに答えるのが群論だ。分子の対称性を数学的に分類し、スペクトル・軌道・反応性を予測する。

📜群論の化学への応用(1920年代)

ハイゼンベルクとワイルが量子力学に群論を適用。フリッツ・ロンドンらが化学結合に展開した。現在では錯体化学・分光学・材料科学の必須ツール。

対称操作と点群

基本的な対称操作
  • E:恒等操作
  • Cn:n回回転軸(360°/n の回転)
  • σ:鏡面(水平σh・垂直σv・二面角σd)
  • i:反転中心
  • Sn:不適正回転(回転+鏡映)

分子が持つ対称操作の集合を点群という。

分子点群特徴
H₂OC₂vC₂軸、2つのσv
NH₃C₃vC₃軸、3つのσv
CO₂D∞h線形、中心対称
CH₄Td正四面体
SF₆Oh正八面体

文字表(キャラクター表)

各点群には文字表があり、既約表現(対称種)のキャラクターが表になっている。

📝C₂v群の文字表
C₂vEC₂σvσv'
A₁1111
A₂11-1-1
B₁1-11-1
B₂1-1-11

H₂Oの基準振動はA₁(2つ)とB₁(1つ)に属する。

選択則:スペクトルへの応用

IR・ラマン選択則

IR活性:双極子モーメントが変化する振動(u対称性を含む)

ラマン活性:分極率が変化する振動(g対称性を含む)

相互排除則:反転中心を持つ分子では、IR活性とラマン活性は相互排除される。

🌍薬品・材料の同定

X線結晶構造解析・NMR・IRスペクトルの解釈はすべて群論の選択則に基づく。新薬開発や触媒設計で活用される。

// quiz

確認問題

Q1.水分子 H₂O が属する点群はどれか?

Q2.群論の「選択則」が意味することを答えよ

Next Up — Chapter 34

遷移状態理論(アイリング方程式)

次のチャプターで学習を続けましょう

次のチャプターへ →