大学Chapter 33約14分
群論と分子の対称性
分子の形がわかれば振動数・軌道・光吸収が予測できる。群論は分子の対称性を数学的に扱う強力なツール。
#群論#対称性#既約表現#文字表#点群#選択則
分子の形を「数学」で扱う
「なぜ CO₂ は赤外線を吸収するのに N₂ は吸収しないのか?」
この問いに答えるのが群論だ。分子の対称性を数学的に分類し、スペクトル・軌道・反応性を予測する。
📜群論の化学への応用(1920年代)
ハイゼンベルクとワイルが量子力学に群論を適用。フリッツ・ロンドンらが化学結合に展開した。現在では錯体化学・分光学・材料科学の必須ツール。
対称操作と点群
✓基本的な対称操作
- E:恒等操作
- Cn:n回回転軸(360°/n の回転)
- σ:鏡面(水平σh・垂直σv・二面角σd)
- i:反転中心
- Sn:不適正回転(回転+鏡映)
分子が持つ対称操作の集合を点群という。
| 分子 | 点群 | 特徴 |
|---|---|---|
| H₂O | C₂v | C₂軸、2つのσv |
| NH₃ | C₃v | C₃軸、3つのσv |
| CO₂ | D∞h | 線形、中心対称 |
| CH₄ | Td | 正四面体 |
| SF₆ | Oh | 正八面体 |
文字表(キャラクター表)
各点群には文字表があり、既約表現(対称種)のキャラクターが表になっている。
📝C₂v群の文字表
| C₂v | E | C₂ | σv | σv' |
|---|---|---|---|---|
| A₁ | 1 | 1 | 1 | 1 |
| A₂ | 1 | 1 | -1 | -1 |
| B₁ | 1 | -1 | 1 | -1 |
| B₂ | 1 | -1 | -1 | 1 |
H₂Oの基準振動はA₁(2つ)とB₁(1つ)に属する。
選択則:スペクトルへの応用
✓IR・ラマン選択則
IR活性:双極子モーメントが変化する振動(u対称性を含む)
ラマン活性:分極率が変化する振動(g対称性を含む)
相互排除則:反転中心を持つ分子では、IR活性とラマン活性は相互排除される。
🌍薬品・材料の同定
X線結晶構造解析・NMR・IRスペクトルの解釈はすべて群論の選択則に基づく。新薬開発や触媒設計で活用される。
// quiz
確認問題
Q1.水分子 H₂O が属する点群はどれか?
Q2.群論の「選択則」が意味することを答えよ
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