大学Chapter 32約15分
化学熱力学
反応は自発的に進むか?ギブズエネルギーとエントロピーが答えを出す。高校化学熱化学の先にある、反応の方向性の科学。
#化学熱力学#ギブズエネルギー#エントロピー#化学ポテンシャル#平衡定数#ヘルムホルツ
「なぜ反応は進むのか」を熱力学で答える
高校化学では「発熱反応は進みやすい(ΔH < 0)」と習う。
しかし吸熱なのに自発的に進む反応もある。砂糖が水に溶けるのは吸熱反応だが自然に進む。
その答えがギブズエネルギーとエントロピーにある。
📜ギブズ(1876年)
ジョサイア・ウィラード・ギブズがヘルムホルツ・ギブズエネルギーの概念を確立。「化学熱力学の父」と呼ばれ、平衡・相転移・反応方向性を統一的に記述した。
熱力学の4法則(概観)
| 法則 | 内容 |
|---|---|
| 第0法則 | 熱平衡の推移律(温度の定義) |
| 第1法則 | エネルギー保存(ΔU = Q - W) |
| 第2法則 | エントロピーは増大する(ΔS ≥ 0) |
| 第3法則 | 絶対零度でS = 0 |
エントロピー S
✓エントロピーの定義
可逆過程で系に加えた熱 を温度 で割った量。
統計力学的定義:(場合の数の対数)
📝エントロピー変化の例
- 氷の融解:固体→液体で分子配置が増える →
- 気体の膨張:体積増加で取れる位置が増える →
- 結晶化:液体→固体で秩序化 → (系のみ)
ギブズエネルギー G
∑ギブズエネルギー
定温定圧での自発性の判定基準:
- :自発的
- :平衡
- :非自発(逆反応が自発)
⚠ΔHとΔSの競合
| ΔH | ΔS | 自発性 |
|---|---|---|
| − | + | 常に自発 |
| + | − | 常に非自発 |
| − | − | 低温で自発(−TΔSが小さい) |
| + | + | 高温で自発(TΔSが大きい) |
標準ギブズエネルギーと平衡定数
∑ΔG°と平衡定数Kの関係
:反応商、:平衡定数、:気体定数、:絶対温度
- :(生成物側に平衡)
- :(反応物側に平衡)
化学ポテンシャル
✓化学ポテンシャル μ
成分 の化学ポテンシャル:
物質1 molあたりのギブズエネルギー。粒子はμが高い方から低い方へ移動する(浸透圧・相転移の原動力)。
🌍工業・生化学への応用
アンモニア合成(ハーバー法)の条件設定、燃料電池の最大仕事、タンパク質の折りたたみ——すべてΔGの最小化原理で理解できる。
// quiz
確認問題
Q1.反応が自発的に進む条件はどれか(定温定圧)?
Q2.平衡状態における ΔG の値はいくらか?
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