大学Chapter 35約13分
密度汎関数理論(DFT)
波動関数の代わりに電子密度を使って多電子系を解く。現代計算化学の主流手法で、ノーベル賞を受賞した理論。
#DFT#密度汎関数理論#電子密度#コーンシャム方程式#交換相関汎関数#計算化学
「波動関数」を使わずに計算する
N電子系の波動関数は ——3N変数の関数だ。
N = 100(小さな分子)でも計算は事実上不可能。
DFTの革命的アイデア:3変数の電子密度 だけですべて決まる。
📜コーンとポープル(1998年ノーベル化学賞)
ウォルター・コーンがDFTの理論的基盤を確立(1964, 1965年)。ジョン・ポープルが計算手法(Gaussian)を開発。1998年にノーベル化学賞を受賞。
ホーエンベルク・コーンの定理
✓2つの基本定理(1964年)
第1定理:基底状態の電子密度 はハミルトニアン(外部ポテンシャル)を一意に決定する。したがってすべての物性が の汎関数として表される。
第2定理:真の基底状態密度でエネルギー汎関数は最小値を取る(変分原理)。
コーン・シャム方程式
∑コーン・シャム方程式
- :核のポテンシャル
- :電子間クーロン相互作用
- :交換相関ポテンシャル(近似が必要)
交換相関汎関数
DFTの精度を決めるのが交換相関汎関数 。厳密形は未知なので近似する。
✓汎関数の階層(ヤコブのはしご)
- LDA(局所密度近似): のみに依存
- GGA(一般化勾配近似): と (例:B3LYP, PBE)
- ハイブリッド:HF交換を混合(例:B3LYP)
- meta-GGA:運動エネルギー密度も使用
- 双ハイブリッド:摂動論を追加
計算の流れ
- 初期密度 を設定
- を計算
- コーン・シャム方程式を解いて を得る
- 新しい を計算
- 収束するまで繰り返す(自己無撞着場・SCF)
🌍医薬品設計・材料科学
新薬候補のタンパク質結合エネルギー計算、リチウムイオン電池の電極材料設計、触媒の反応機構解明。現代の材料・薬品開発はDFT計算なしには成立しない。
// quiz
確認問題
Q1.DFTの基盤となるホーエンベルク・コーンの定理が示すことは何か?
Q2.コーン・シャム法の核心的なアイデアはどれか?
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